大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)983 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由第一点について。

しかし、所論の昭和二三年法律第一一〇号及び昭和二二年青森県条例第九号が廃

止されたからといつて、廃止前にこれら法令に基いて生じた上告人の納税義務が当

然に消滅する理由はなく、その滞納金徴収のためにした本件滞納処分を違法とすべ

き理由はない。

論旨は、右青森県条例第九号は関係官庁の許可を得たものでないから法律上の拘

束力がない旨を主張するのであるが、当裁判所の調査するところによれば、独立税

たるりんご税について内務大臣、大蔵大臣の許可があつた事実が認められるから論

旨は採用できない。

論旨はまた、上告人に対する地租、家屋税の賦課の違法を主張するのであるが、

原判決の引用する一審判決でも明らかなように、昭和二三年法律第一一〇号による

改正後の地方税法三一条によれば、共有物についての税は共有者が連帯して負担す

るのであるから、訴外D、同Eと上告人の共有にかかる土地建物について、上告人

に対し地租、家屋税の全額を賦課しても違法ではない。�

論旨はさらに、農業協同組合に対する債権の差押、不動産の差押、動産の差押は

重複差押である旨を主張するのであるが、原判決の引用する一審判決によれば、不

動産差押換価によつては、上告人の全滞納額を満足せしめるに足りないものとして

右債権及び動産を差押えたというのであるから、所論のように二重徴収のためでは

なく、違法とすべき理由はない。

論旨は憲法三〇条、八四条違反を主張するのであるが、その前提において理由が

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ないことは右説明のとおりである。

同第二点について。

所論民法七〇四条及び民訴五四〇条は、本件滞納処分の適否とは関係がない。

一、論旨は、上告人の滞納税金は供米代金の差押によつて完納されているという

のであるが、原判決の引用する一審判決によれば、右差押は解除され税金は納付さ

れていないというのであるから、論旨は、結局、原判決の事実認定を非難するに過

ぎない。なお、所論差押禁止物件の差押は、本件不動産の差押、公売の適否と関係

がない。

二、三、共有物についての地租、家屋税を共有者の一人である上告人から徴収す

ることが違法でないことは前述のとおりである。

同第三点について。

一、不動産と動産を差押えたことが税を二重に徴収するためでなかつたことは前

述のとおりである。論旨は、結局、原審が証人Fの証言を採用したことを非難する

に帰し採用できない。なお、甲二号証記載のりんご税は昭和二二年度のものであつ

て、二三年度りんご税徴収のための本件滞納処分と関係がないことは、原判決の認

定するところである。

二、三、原判決は、上告人が滞納したりんご税は昭和二三年度分である旨を認定

しているのであつて、右認定に反し昭和二二年度分であることを前提とする上告人

の主張は採用の限りでない。

同第四点について。

一、行政事件訴訟に民訴が適用されるからといつて、国税徴収法による滞納処分

に民訴中強制執行に関する規定が準用されることにならないことは原判示のとおり

であつて、原判決が上告人の民訴の準用を前提とする主張を容れなかつたのは当然

である。

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二、本件滞納処分は地方税法に基くものであつて、地方自治法二二五条によるも

のではなく、同条の適用を前提とする主張は採用の限りでない。

三、論旨は、一審判決添付別紙目録(一)、(四)の田の公売の違法を主張する

のであるが、原判決の引用する一審判決によれば、(一)の田は公売することなく

差押は解除され、(四)の田については、いわゆる譲渡政令によつ第三者に強制譲

渡されていたので公売を取り消したというのであるから、これらの田について公売

処分があつたことを前提とする主張は採用の限でない。

四、国税徴収法による滞納処分に民訴の適用、準用がないことは前述のとおりで

ある。所論の公務員の犯罪の有無も本件滞納処分の適否に関係がない。

同第五点について。

論旨は結局、原審が証人Fの証言を採用したことを非難するに帰し採用できない。

本件滞納処分に違法の点がない以上、所論民法七〇九条、七一九条及び憲法一七条

による賠償責任の問題を生じないことも明白である。

同第六点について。

所論一審判決手続に関する違法は上告適法の理由ではないのみならず、昭和三一

年一〇月二日の弁論期日に裁判長は弁論の更新を命じ当事者は従前の弁論の結果を

陳述しているのであつて違法の点はない。論旨はまた、原審は弁論公開の規定に違

反するというのであるが、記録に徴するに、上告人は原審における弁論期日に出頭

しなかつただけであつて、弁論は公開されており論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

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裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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